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リサイクルビジネスの生産性革命(4)

「SDGs」の活用手法・積極投資の方向性を見極めるための目安

環境新聞 10月10日版

「持続可能な開発目標」(以下、「SDGs」)とは、国連サミットが、「誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現」を掲げた野心的な17の国際目標である。それぞれの目標には具体的なターゲットや指標が定められており、我が国も産官学関係者を中心にその実現を視野に入れた取り組み強化を求めている。

 ただし、リサイクルビジネスを含む企業の場合、全てのゴールと自社事業が関連する訳ではないため、SDGs実施のガイドラインとして「SDGsコンパス」が策定されており、その手法を踏まえて各社がゴールの優先順位付けや目標設定を行いつつ、 本業への取り込み、ステークホルダーとの連携、実績報告等を行う必要がある。

 以上は優等生的な「あるべき論」にも聞こえるが、SDGsには生産性向上に資するヒントが含まれていることも忘れてはならない。

 まず、リサイクルビジネスの本業に直結する目標は、「持続可能な生産消費形態の確保」である。より具体的には、「製品ライフサイクルを通じて化学物質やすべての廃棄物に関する環境に配慮した管理の達成」や「予防、削減、リサイクル、および再利用により廃棄物排出量を大幅に削減」などが挙げられる。言葉を換えれば、動静脈連携を通じて製品ライフサイクルの環境負荷を削減し、廃棄物の排出量を減らしながらリサイクルを推進すること自体の重要性を世界中に喧伝しているのである。結果、その社会的な受容性や政策的な後押しが強まることで、本業における追い風になり得る。更には、個社でKPI(定性的・定量的な達成目標)を設定することにより、社内のPDCAプロセスの再検証のきっかけにもなり得る。

 次に、業容拡大を検討する上でのスコープ検証にも活用できる。廃棄物の適正処理を前提に、再生資源やエネルギーとして動脈産業に還元するリサイクルビジネスは、幅広い業態への展開を図る可能性を有している。例えば、「海洋と海洋資源の保全・持続可能な使用」というゴールを踏まえて廃プラスチックリサイクルを強化することや、「陸域生態系、森林管理、砂漠化への対処、生物多様性」を念頭に林業参入を通じたバイオマス燃料の調達を強化することなども考えられる。理念的裏付けの確認は、新たな挑戦にも不可欠なのである。

 最後に、露骨な資金調達面のメリットも想定される。社会問題解決や経営の規律強化に向けた企業活動を対象とした、いわゆる「ESG投資」は、1.5兆円とも言われるGPIFの投資実績を背景に明確な拡大傾向にある。リサイクルビジネスでも上場企業は増えつつあり、投資信託への組み込み等を望む金融機関は確実に増加している。労働安全環境改善を伴って「ジェンダー平等、女性の能力強化」や「包摂的で持続可能な経済成長、雇用」等を目標に設定することで、与信面での評価が高まることも期待できる。

 焼却等の中間処理を中心に業界全体が好調な今こそ、各社にとって積極投資のチャンスであることは論を俟たない。その方向性を見極める上で、SDGsは重要な目安として活用できるのである。

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