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リサイクルビジネスが挑むIoTイノベーション(8)

「CE」という追い風・・・シェアリング・マッチング・長寿命化

環境新聞 11月22日版

 欧州発の「サーキュラーエコノミー=循環経済(以下、「CE」)」は、消費された資源を回収して再生・再利用することで、経済成長と資源制約のデカップリングを図る経済モデル確立を目指す政策である。具体的には、製品修理による延命化や耐久性向上、リサイクル率の向上、更には含有物質情報の共有や低炭素化促進等を包括的に実現することなどが挙げられている。

 昨年5月に開催されたG7環境大臣会合でも、この政策を踏まえた共通ビジョン及び目標として「富山物質循環フレームワーク」が採択された。その目標は「資源効率性・3Rのための主導的な国際政策」「グローバルな資源効率性・3Rの促進」「着実かつ透明性のあるフォローアップ」の3点であり、EU政策を尊重しつつも、わが国の資源循環政策にも重要な示唆を与える建付けとなっている。本稿では、IoT導入促進の追い風にもなり得るCEが、リサイクルビジネスにもたらす影響の切り口等に係る検証を行う。

 まず期待されるのが、「シェアリング」の促進である。「所有から利用へ」というメガトレンドを踏まえ、あらゆる製品が必要な時だけ利用される世界では、製品稼働率向上に伴う資源利用量削減が期待される。先行的に普及しつつあるのが自家用車であり、駐車場管理会社等が始めたカーシェアリングがその典型と言える。基盤技術は、車両の個体管理とユーザー情報管理、詳細な使用情報管理を前提としたIoTであり、今後は自家用車のみならず、社用車や重機類、更にはさまざまな耐久消費財にも適用されることが期待される。

 次に、「マッチング」による廃棄物削減への期待も大きい。スマートフォン利用を前提としたフリマアプリの爆発的な普及にも見られる通り、特定個人にとっての不用物が他者には十分な価値を持つ現象は当たり前であり、入札機能導入等を前提に使用価値の最大化を図るシステム整備が、資源投入量や廃棄物発生量の減少を促すことは間違いない。大量生産・大量消費という近代化の原則は既に過去のものとなり、社会全体としての製品利用拡大への意識が高まっている。プラットフォーム機能による画像や利用データ等を伴うユーザーマッチングが、IoTの強みであることは言うまでもない。

 最後に、「長寿命化」である。そもそも機械工学的な技術革新が枯渇段階に至った中、製品性能やその付加価値を左右する要素はソフトウェアである。スマートフォンOSや各種アプリが無料で更新される現状にも見られる通り、これからの製品は物理的な改善がなくともその機能を拡充できる。さらに、設計段階でのモジュール化進展に伴い、主要部品を取り換えることで、製品としてそのまま利用し続けられる商品の登場も期待される。基幹部品のリユース拡大は言うまでもなく、IoT活用による製品利用履歴の見える化や個体情報管理はその前提条件となる。結果、使い捨てを除くあらゆる製品の超寿命化が加速するのである。

 製造業が百年に一度と言われる変革期を迎えている中、受け皿となる静脈産業の進化への期待は大きい。その重要なツールとして活用されるのが、IoT技術なのである。

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