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リサイクルビジネスが挑むIoTイノベーション(3)

「電源確保」という課題・・・今すぐ社会実装可能な技術の見極めを

環境新聞 6月28日版

 IoT社会実装における課題の一つは、電源確保である。例えば、屋外で電源のないところに設置されたモノの情報を無線LAN等経由でインターネットに接続することは、極めて困難である。

 リサイクルビジネスでIoT導入が想定される現場は、オフィスや工場のみならず、収集運搬時の車中や排出現場等ありとあらゆる場所に及ぶ。ただし、事業化可能性を念頭におくと、電源確保の一点からも、目先の実現方策や活用ツールはある程度絞り込まれる。

 本稿では、電源確保という課題を踏まえた当面のIoT導入への期待や用途拡大に資する技術ニーズ等について、現場実態を踏まえた検証を行う。

 まず、電源が確保された屋内で使用する情報家電や機械設備は、有線でも無線でもインターネットに常時接続出来る。また、オフィスや工場の事務棟には、既に操作性が高いPCが普及済みであり、新たにセンサー等を設置する必然性は低い。いわゆる「スマートホーム」が十分な付加価値を生み出せない現状を鑑みると、新たなIoT技術導入への期待は低い。ただし、プラント設備については、既存センシングシステムに「+α」の機能を付加して、データ解析等を行う方向の高度化が急速に進んでいる。

 次に収集運搬車等は、走行時の発電が可能である。ドライバーのスマートフォンからデータの送受信が可能であり、電気使用量が大きいGPS端末も活用できる。一般的に収集運搬の業務効率は必ずしも高いと言えない中、IoT技術導入への期待が高いのもそのためである。収集運搬車両はリサイクルビジネスの手足であり、運行情報のみならず、データ収集のためのセンサーとしての役割も期待されている。

 ニーズや期待が高いにも関わらず、電源確保が最大の問題となるのが排出現場である。デジタルデータを取得可能な現場はトラックスケールの重量データ程度であり、フレコンバックやコンテナ等の情報をインターネット経由で把握することは難しい。海外で実証されている定置型コンテナ用センサーには一次電池が利用されているが、まともな電波到達距離を確保するならば、長期利用は期待出来ない。すなわち、排出現場でモノの側にデータを持たせるのは現実的でないのだ。当面の間、排出現場の情報は排出事業者が入力して処理業者等に伝えることが最も現実的である。それが無理ならば、ドローンや収集運搬車両を運行させて画像データ等を把握した上で解析・利用することに期待すべきであろう。

 一方、開発・実証段階の技術について、野外での電力供給手段としては「エネルギーハーベスティング」とも呼ばれる環境発電技術への期待が高まっている。また、電力消費が少ない微弱な電波で膨大なデータをローカル単位に集約する「エッジコンピューティング技術」も極めて重要となる。こうした技術導入に伴うコストをカバーする付加価値を生み出すことは至難であり、幅広い製品への適用は現実的でない。無論、確実なニーズがある領域の技術はいずれ確立されることため、常時ウオッチする姿勢は欠かせない。

 IoT利活用を急ぐ上では、実用段階の技術と開発・実証段階の技術の見極めこそが重要となる。

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