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リサイクルビジネスもイノベーションを語ろう(11)

イノベーション投資の回収方策・・・強み活かしで弱みを補いながら業域拡大を

環境新聞 2月22日版

 政府はサイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した超スマート社会を我が国の未来像として描き、その実現に向けた取り組みを「Soiety5.0」と呼んでいる。「狩猟」「農耕」「工業」「情報」と進化してきた社会の次のステージを見据えた戦略だが、残念ながら総花的で手触り感が感じられない。イノベーション促進の重要性を強調しつつも、課題設定が不明確であり、新たな社会の実現が企業にもたらすメリットやチャンスが不明確なためである。マクロ的な社会変革は、個社レベルで十分なインセンティブがなければ実現出来ない。

 IoT、AI、ロボット等導入には例外なく初期コストが必要であり、リサイクルビジネスも投資回収のシナリオを描けなければ踏み込むことが出来ない。電子化による効率化・省人化による投資回収は情報社会のモデルであり、更なるイノベーション投資には、本業の改善に加えて新たな付加価値創出も必須となる。

 本稿では、リサイクルビジネスのイノベーションに伴う投資回収の実現方策を例証する。

 まず、リサイクルビジネスの強みの一つは、自社収集運搬車両がもたらす機動力にある。IoTやAIの活用により、リアルタイムで配車・積載・運行管理を行う体制を整備すれば、その強みを強化することが出来る。また、一般の運送業界では「ラストワンマイル」の配送が課題となり、深刻な人手不足が続いている。一般車両で廃棄物の収集運搬は出来ないが、その逆に規制はない。高度に木目細かな配車管理が可能な車両を動脈物流にも適用出来れば、稼働率向上による収益拡大は確実である。車両管理の高度化は、ドライバー不足という目先の商機を活かす積極投資にもなり得るのだ。

 次に廃棄物を取り扱う企業は、中間処理の効率化等を目的とした組成分析を不定期に行っている。仮に更なる詳細分析の継続によりビックデータ化すれば、燃焼効率の改善や再資源化率の向上等も期待出来る。更に、機密保持契約が許す範囲で解析を行えば、小売事業者等に対する販売価値を有するマーケティングデータにもなり得る。結果、先般話題となった節分時の恵方巻大量廃棄等を抑止することで、処分費は減ってもデータ提供費で回収する、そんな情報サービスへの展開も検討すべきである。

 最後に、リサイクルビジネスの現場でも人材不足は顕在化しており、いわゆる「3K職場」のレッテルを抜け出すことは緊急の課題である。特に労働安全管理の徹底に向けた投資は必須であり、ウェラブルセンサー活用による遠隔管理等最先端技術導入も急ぐべきである。更に労務管理や機材管理にもICタグ等を積極活用することより、他業種以上に効率的で魅力ある作業環境を実現することが求められている。一見過剰に見える投資でも、製造業にも負けない「現場力」を育成して商品化することで、他業種展開目指すことも出来る。

 イノベーション投資の是非は、本業への直接的な裨益だけで判断すべきではない。新たな業域への展開を念頭に、波及効果まで見据えた十分なメリットが見出せるなら、勝負してみる価値がある。

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