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リサイクルビジネスもイノベーションを語ろう(10)

シェアリングという発想・・・設備・機材の稼働率向上に向けたアプローチ

環境新聞 平成29年1月25日版

 民生分野におけるカーシェアリングの普及が加速している。国内でも駐車場を活用した無人レンタカー事業は急速に拡大しており、UBERテクノロジーズ等配車サービスの参入が認められれば、民生用車両の稼働率は更に高まることが見込まれる。今後、シェアリング対象が自動車以外の製品に拡がることは確実と見られており、その背景には物品保有への価値観の転換のみならず、技術的イノベーションの裏付けもある。

 一方、産業分野でのシェアリングは、民生分野ほどに進展していない。例えば競合と連携を図れば、相対的な競争力低下を招くリスクはあるが、機材や設備の稼働率向上がもたらすメリットがそのリスクを上回る可能性は十分にある。装置産業の側面を有するリサイクルビジネスも例外ではなく、シェアリングという発想を取り入れるべき時が来ている。

 本稿では、業界内でのシェアリングの可能性とその実現に向けた課題等についての検証を行う。

 まず、目先でシェアリングニーズが高い機材は収集運搬車両である。必要なタイミングで車両やドライバーを確保できず、失注に至る事例も現実に発生している。無論、収集運搬車両には会社毎の登録が求められるため、他社顧客の廃棄物を自社車両で回収することは制度的に禁じられている。ただし、対象が有価物であれば片荷運行を削減したり、混載により積載率を高めたりすることが可能である。その実現に求められるのが、集荷対象となるクライアント側の発生量や回収ニーズにかかる情報であり、そこにイノベーションニーズが顕在化している。例えば、複数のリサイクラーが顧客情報をインターネット上で共有した上で、GISの活用により発生源情報を共有出来れば、収集運搬車両のシェアリングが実現可能となるかもしれない。

 次に、重機類のシェアリングも検討対象となり得る。高額な重機類購入はリサイクラーにとって大きな投資であるにも関わらず、購入後は特定の時間帯に集中的に利用され、あとの時間は不稼働となるケースも見られる。特に廃棄物処理施設が集積している地域等では、複数企業による重機類の買入と稼働状況管理を前提としたシェアリングにより、投資費用削減の可能性が高まる。

 最後に、焼却炉等のプラントも論理的にはシェアリング対象となり得る。再生資源の相場が低い現在、焼却炉では受け入れ可能量を超える廃棄物搬入ニーズが生じることもある。事務手続きの柔軟性の高い電子契約の導入等により、受入能力を超えた受注があった時、あるいは定期修繕の時等に、連携先施設への搬入を促して紹介手数料等を受け取るモデルを構築出来れば、それもシェアリングの一形態となり得る。装置産業にとって施設稼働率向上は最優先課題の一つであり、マクロ的な需要が地域毎の処理能力に近づく程、シェアリングニーズは高まるはずである。

 産業分野でのシェアリング導入は、業界を問わずこれからの課題となる。リサイクラーによる取り組みが、設備・機材の稼働率向上による生産性向上の先駆けとなることを期待したい。

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