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リサイクルビジネスもイノベーションを語ろう(4)

ドローンがもたらす業界の透明性・・・技術面・経済面共に合理的な新技術

環境新聞 6月29日版

15年以上前、衛星画像を活用して不法投棄等の未然防止・拡大防止を図る実証事業に大規模な国費が投入された。当時は青森・岩手県境不法投棄事件発覚直後で現状把握にも課題があったが、不法投棄未然防止という観点では散々な結果に終わった。単純に空が曇れば画像が映らないためである。先進技術の社会実装にリスクが伴うのは当然だが、一定のコストメリット予見は必須である。

 一方、時代は変わり、いわゆるIT機器や関連ツールの価格は大幅に下落した。その典型事例の一つがドローンである。ドローンとは遠隔操作や自動制御が可能な小型無人機の総称であり、GPSやカメラを搭載することで航空写真や映像を自動撮影出来る。高額機種でも数十万円オーダーで購入可能であり、その汎用性は極めて高い。

 本稿では、今すぐ利用可能なイノベーションの事例としてドローンを取り上げ、その可能性等について検証する。

 まずは既述の不法投棄対策として、既に茨城県や青森県で導入されている。特に茨城県では、産業廃棄物の過剰保管を5か所、無許可の残土埋め立てを1か所発見・指導するなど、施設内での不適正行為摘発にも効果を発揮し始めている。特に保管場所や処分場の場合、一般的に屋根がないため空撮画像が確実な証拠になり得る。行政が上空から監視して、画像を保存すること自体が不適正行為に対する抑止力になることは確実であり、全国の都道府県はすぐにでも同様の取り組みを開始するべきである。

 一方の事業者側も、事業の効率化やリスク管理のためにドローンを活用することが出来る。例えば、最終処分場の残余容量測量は、技術管理者や測量士等に委託する必要があったが、制度的課題解決を前提に定量的な証明を伴う内製化を進めることが期待出来る。また、建設現場等からの処分委託を受ける際、現地での品目別発生量予測を行うことで収集運搬を含む作業計画の高度化も実現出来る。更に新たに取引を行う二次処理先や処分場の現地確認等を事前に行えば、リスク管理にも役立つ。

 以上は全て手触り感のある実用的な用途であり、削減可能な人件費を考えれば、すぐにでも全国に普及するはずである。残念ながらこの業界には、不法行為を価格競争力の源泉とする企業が今も多数存在する。行政側が低コストで精度の高い監視や指導を行うための技術は、正直な商売をしているリサイクラーにとっての追い風となる。透明で公平な競争環境整備が急速に進むことは確実であり、その先に目指すべきは業界全体の信頼性向上である。

そのためにも廃棄物処理・リサイクル業界の旧態依然たる技術的な常識や、資格制度を含む運用プロセスを見直すべき時が来ているのではないか。現在進められている廃掃法の見直しも、技術的裏付けが確立してはじめて可能になる。

ドローンの事例に限らず、先端技術が商用化されるまでのスピードはかつてない程に早い。自社事業に一見関係ない技術情報にも常にアンテナを立てることで、一歩先行く差別化を図るチャンスの間口が拡がっている。

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