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リサイクルビジネスもイノベーションを語ろう(2)

情報化がもたらす可能性・・・コンプライアンス+αのメリット創出を

環境新聞 4月20日版

 取引主体間での情報量やその質の不均衡を示す「情報の非対称性」は、悪貨が良貨を駆逐して、廃棄物処理業界の構造を歪める要因となってきた。排出者が廃棄物処理のもたらすリスクを把握する手段を持たないため、「安かろう、悪かろう」の取引が幅を利かせてしまうことになる。マニフェスト制度は一定のヘッジ機能を果たすが、現場にとっては手間でしかなく、前向きなメリットは生み出し得ない。

 では仮に全ての廃棄物がリサイクルされる世界では何が起こるのか。リサイクルの出口は素材製造業への原燃料販売であり、その付加価値最大化はそのまま利潤をもたらす。売り手と買い手がモノと一緒にその品質に関わる情報を要求することになるため、非対称性の問題はすぐに解消される。そうなれば製造業におけるサプライチェーン管理と全く同じになり、例えばITを活用した業務効率化が、一気に推進されることになる。

 本稿では、リサイクルビジネスの情報化がもたらす可能性についての検証を行う。

 まずは比較的付加価値が高い非鉄金属をイメージして、そのプレーヤーの役割を簡略化して整理する。起点となるメーカーは、設計・開発と製造を行い、ユーザーはその製品を利用してから排出する。次に中間処理会社が輸送から素材抽出までのプロセスを担い、最後は製錬業者が非鉄金属として再生して、メーカ等に還流される。更に、このサプライチェーンに備蓄の機能があれば、少なくとも理論的には資源循環の輪が完成する。

 このプロセスを最適化するには積極的な情報管理と共有が欠かせない。例えばメーカーがリサイクル性の高い「エコデザイン」を行っても、中間処理業者にその情報が伝わらなければ処理システムの改善は図れない。逆に付加価値の高い金属の含有情報を中間処理会社が事前に把握できれば、選別・破砕等の工程で金属元素の濃化も可能となる。

 品位が安定した金銀犀やレアメタル含有金属の供給が実現すれば、製錬技術の高度化も可能となり、メーカーに対する資源安定供給も可能となる。リユース促進の観点から見ても、排出者側の利用状況を中間処理会社が把握出来れば、高付加価値な部品取りの判断も容易となる。こうしたメリットを享受するために必要なのが、いわゆるビックデータを管理するリサイクルデータベースなのである。

 現実の世界では、情報開示や共有により不利益を被る主体もいる。また、全体最適の在り方として総論賛成であっても、そのプロセスに至る各論レベルでのメリットが見えないため、協力に消極的となる事業者も多い。だからこそ必要となるのが、行政や有力な業界団体のリーダーシップなのである。

 廃棄食品の不正転売事件は、リサイクルビジネス全体のイメージダウンをもたらす深刻な問題である。その悪影響は中間処理会社のみならず、メーカにも及ぶ。今こそ求められるのは業界全体の透明化であり、その実現ツールが情報化なのである。資源循環を担う全ての主体が、リサイクルの情報化がもたらすメリットについて、真剣に考えるべき時が来ている。

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